IT業界には、さまざまな資格がありますが、その中でも応用情報技術者試験は、幅広い分野の知識と実践的な能力を持つエンジニアを認定する国家試験です。
応用情報技術者試験は、IT業界での就職・転職や、キャリアアップを目指す際のアドバンテージとして活用できる有効な資格の一つでもあります。
この記事では、応用情報技術者試験とはどのような試験なのか?資格取得のメリットは何か?IT業界初心者の方に向けて、応用情報技術者試験の全貌を解説いたします。
エンジニアとしてのキャリアアップに必須!応用情報技術者試験合格への道
1. 応用情報技術者試験とは
応用情報技術者試験とは、日本情報技術者試験協会(IPA)が主催する国家資格制度で、情報処理技術者試験の一種で、中級の情報技術者を対象とした国家資格試験です。
情報処理技術者試験とは、日本のIT関連の国家資格の一つで、情報技術の知識と技能を持つ者を認定する目的で実施されている試験です。
情報処理技術者試験にはいくつかの種類が存在し、初心者から上級者までのスキルレベルや、特定の分野に特化した知識を評価するための試験が用意されています。
・ITパスポート試験
業務で必要となる基本的なIT知識をはかる試験(レベル1)
・基本情報技術者試験
IT人材に求められる基本的な知識・技術をはかる試験。(レベル2)
・応用情報技術者試験
IT人材に求められる応用的な知識・技術をはかる試験。(レベル3)
・専門的試験(例:ネットワーク、データベース、組込みなど)
ITの特定の分野において高度な知識をはかる試験(レベル4)
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位に位置する資格で、システム開発や運用管理などの実務に必要な知識や技能を問う試験です。
応用情報技術者試験に合格すると、応用情報技術者という国家資格が取得できます。
2. 応用情報技術者試験を取得するメリット
応用情報技術者試験を取得するメリットは、主に以下の3つです。
2-1. スキルアップ
1.深い知識の習得
応用情報技術者試験は、システム開発から運用、管理に至るまでの幅広い知識をカバーしています。
試験勉強をすることで、これらの領域に関する深い知識や技術を習得することができます。
2.問題解決能力
試験の内容は単に知識を問うものだけではなく、実際の業務シーンでの問題解決能力も試されます。
そのため、実務レベルで活用できる問題解決力の向上が期待できます。
2-2. 就職・転職・昇進
1.業界内での高い評価
IT業界内での知名度が非常に高く、多くの企業で求められる資格の一つです。
そのため、履歴書や職務経歴書にこの資格を記載することで、採用や転職にも有利となります。
2.キャリアアップの道
資格を持っていることは、昇進の際の評価ポイントとして考慮されることが多いです。
また、特定の専門的なプロジェクトや役職に就くための前提条件として設定されている場合もあります。
2-3. 信頼・自信
1.外部への信頼性
国家資格であるため、取引先や外部のパートナーからの信頼も得られやすくなります。
特にプロジェクトの提案や営業活動時に、この資格があると信頼感を与える材料として利用できます。
2.自己肯定感の向上
難易度の高い試験に合格することで、自身のスキルや知識に対する自信が増します。
この自信は、日々の業務やチーム内でのコミュニケーションにも良い影響を与えるでしょう。
3. 難易度
応用情報技術者試験の難易度は、情報技術の応用面に重点を置いた問題が出題されるため、基本情報技術者試験よりも実践的な問題解決能力や応用力が求められます。
基本情報は技術者よりの試験である一方で、応用情報はマネジメントよりの試験であるという違いがあり、プログラミングやアルゴリズムが必須ではないため、基本情報は不合格であったが、応用技術は合格したというパターンもあるようです。
しかし、一般的には応用情報技術者試験の方が難易度が高いとされており、ITプロジェクトのマネジメントや、システム設計、運用管理といった幅広い領域に関する知識も必要とされるため、一つの分野だけに特化した学習では難しい面があります。
4. 応用情報技術者試験の試験概要
応用情報技術者試験は、毎年春と秋に実施され、午前と午後の2部構成で行われます。
4-1. 試験時間
・午前の部
試験時間:9:30~12:00(150分)
設問数:80問
試験方法:マークシート方式
・午後の部
試験時間:13:00~15:30(150分)
設問数:11問
試験方法:記述式
4-2. 合格点
応用情報技術者試験は、午前と午後の試験に100点ずつが配点されています。
合格点は、午前・午後ともに60点であり、合格するためには両方の試験でこの点数を取得する必要があります。
午前の試験は、80問あるため、60点以上とするには、少なくとも48問に正解しなければなりません。
また、午後の試験は11問あり、1問20点となっているため、少なくとも3問正解する必要があります。
また、各年度の合格率についてはIPAのサイトより統計情報から確認ができます。
開催時期:令和5年春期 合格率:27.2%
開催時期:令和4年秋期 合格率:26.2%
開催時期:令和4年春期 合格率:24.3%
開催時期:令和3年秋期 合格率:23.0%
開催時期:令和3年春期 合格率:24.0%
4-3. 試験範囲
応用情報技術者試験の試験範囲は、午前と午後で以下のように分けられています。
・午前試験の出題範囲
午前の試験では、広範な分野からの基礎的な知識を問う選択式の問題が中心となり、受験者が多岐にわたるITの基本的な知識を有しているかを判断します。
特に、システム戦略や経営戦略、マネジメント・法務など、技術的な面だけでなく、ビジネスの側面からの知識も問われるため、実務での経験や幅広い学習が求められます。
・テクノロジ系(50問)
基礎理論
アルゴリズムとプログラミング
コンピュータ構成要素
システム構成要素
ソフトウェア
ハードウェア
ヒューマンインターフェイス
マルチメディア
データベース
ネットワーク
セキュリティ
システム開発技術
ソフトウェア開発管理技術
・マネジメント系(10問)
プロジェクトマネジメント
サービスマネジメント
システム監査
・ストラテジ系(20問)
システム戦略
システム企画
経営戦略マネジメント
技術戦略マネジメント
ビジネスインダストリ
企業活動
法務
・午後試験の出題範囲
午後の試験は、選択式ではなく記述式の問題が中心で、受験者の深い知識や実践的な技術を評価するためのものとなっており、具体的なシチュエーションやケースに基づいての解答が求められます。
特に、システム設計やプログラミング、システム運用・保守、情報システム監査といった、実務での具体的なタスクに関連する知識や技術が重点的に試されます。
1.経営戦略に関すること
2.情報戦略に関すること
3.戦略立案・コンサルティングの技法に関すること
4.システムアーキテクチャに関すること
5.IT サービスマネジメントに関すること
6.プロジェクトマネジメントに関すること
7.ネットワークに関すること
8.データベースに関すること
9.組込みシステム開発に関すること
10.情報システム開発に関すること
11.プログラミングに関すること
12.情報セキュリティに関すること
13.システム監査に関すること
5. まとめ
応用情報技術者試験は、初心者エンジニアにとって魅力的な資格です。
合格するための準備としては、参考書やオンラインスクール、過去問題を解くなど自分にあった受験勉強の方法を押さえましょう。
また、同じ業界の先輩や上司など、実際に合格したエンジニアの体験談を参考にすることで、合格への工夫や苦労した点についても学ぶこともできるでしょう。
応用情報技術者試験の合格は、エンジニアとしてのスキルアップやキャリアの展望に大きな意義があります。
合格を目指して、エンジニアとしての成長と将来への展望を広げてください。