時間と場所に縛られない!リモート勤務に必要なエンジニアのスキルを公開!

コロナ禍でシステム業界以外でもリモート勤務が導入され、新しい働き方のかたちが定着しつつある昨今ですね。

しかし客先常駐が基本のSES企業では、セキュリティや仕事の生産性の低下が理由でリモート勤務ができない案件もあります。

一方で、大手のSIer企業では、オフィスを解約してフルリモートを導入している企業もあり、一軒家を購入して地方移住したり、自然豊かな場所に移り住んで趣味の時間を楽しむ人がいるのも事実です。

SESの働き方に不安を覚えて転職を考えられている方も多いでしょう。


本記事ではそのような方に向けて、システム業界で2年以上のリモート勤務を経験する筆者が、リモート勤務のメリット・デメリットリモート勤務に必要なスキルをご紹介します。

1. エンジニアのリモート勤務

はじめに、リモート勤務の経験がない方に向けて、実際に筆者がリモート勤務で感じたメリットとデメリットをそれぞれ3つ解説します。

2. リモート勤務のメリット

2-1. 効率的に時間を使えるようになる

リモート勤務を始めて最も大きな変化は、「通勤時間が無くなった」ことです。

満員電車のストレスから解放され、その時間を家族とコミュニケーションの時間や、朝活の時間に充てられるようになり、「語学の勉強をする」、「ランニングを始める」など自己研鑽ができるようになりました。

また会議体についてもリモート会議となったことで、会議に必要なメンバーを選定する文化が生まれ、何のために参加しているか良く分からない不要な会議が減りました。

不要な会議が減った分を作業時間に充てられるようになったことは、仕事の効率にも大きく影響しています。

2-2. 働ける企業が増える

求人にも大きな変化があり、フルリモート勤務を導入している企業は、地方に住むエンジニアからの応募が増え、就職先が広がりました。

これから転職を考えてる方は、転職サイトで「フルリモート」や「フル在宅」などで検索してみて下さい。

試しにリクルートエージェントで「東京都」のシステム業界のエンジニア職で、年収500万円以上の「フルリモート」を導入している企業数を調べましたが、2,608企業がヒットしました。

今はコロナショックも落ち着き、各企業は採用に力を入れていますので、リモート勤務を望むエンジニアの転職にはタイミングの良い時期と言えるでしょう。


2-3. 生産性やモチベーションの向上

リモート勤務では自宅で作業するため、自分好みの環境にできることもメリットです。

筆者は使い慣れたフルHDの24inchモニター、トラックボールマウスで好きな音楽を聴きながら快適に作業ができるため、オフィスよりも生産性が上がりました。

また、オフィスでは作業中に話しかけられたり、内線電話に応対して集中力が途切れることがありますが、自宅ではそういったノイズが入らないため、集中力も上がります。

3. リモートワークのデメリット


3-1. 自己管理能力が必要になる

生産性が上がる一方で、逆に生産性が下がってしまうケースもあるようです。

自己管理ができる人は効率良く仕事が組み立てられますが、自己管理が苦手な人は非効率な仕事の組み立て方でスケジュールが遅れてしまいます。

1日の時間の使い方まで指示されることは無いため、効率良く作業ができている人を参考にしてタスク管理のやり方を真似してみましょう。

脳科学の分野では、午前中の脳が活発に動いているゴールデンタイムに決断力が求められる作業をこなし、午後は体温が上がって集中力が高いため、記憶力が求められる作業や、細かい作業をするのが最も効率的と言われています。

3-2. コミュニケーションが気薄になる

リモート勤務により気軽に会話できる機会が減り、マネージャーは部下の状況や課題のキャッチアップがし難くなり、また部下も先輩や上司に質問がし難いという声もありました。

終業前にメールでその日の進捗状況や課題を報告するルールを徹底したり、チャットを活用して気軽に質問ができる環境を用意するなど、コミュニケーションの機会を広げましょう。

有志でオンライン飲み会を開き、仕事の悩みや愚痴が言い合える交流の場所を作るなど、業務以外でコミュニケーションが取れる仕組み作りも有効です。

3-3. 仕事とプライベートの時間が曖昧になる

特にシステム運用・保守案件に携わるケースで多かったのが、終業時間や夜間でシステム不具合の問い合わせを受けた場合に、自宅で対応ができてしまうことです。

システム利用者が困っているのであれば、助けたくなるのがエンジニアの性分ですが、サービス残業となってしまうため、業務影響がなければ翌営業日の対応とさせて貰ったり、終業後は社用携帯の電源を切るなど対策が必要です。

4. リモート勤務のために必要なスキル


続いて、リモート勤務を円滑に行うために必要なスキルを解説します。

4-1. 自走できる開発力

リモート勤務では、自分でタスクを組み立てて納期までに完了させる必要があるため、納期から逆算したスケジュール管理や、問題や課題が発生した場合の自己解決力が必要です。


日頃から仕事のスタイルが受け身であると、何時間も同じところで悩んでしまい、時間だけが過ぎてしまいます。

そのため30分調べても解決しなければ上司に相談するなど、判断ルールを事前に決めておくことも大切です。


筆者は後工程で必要となりそうな情報をチャットやメールで有識者に質問して、情報が集まったら整理・検証するなど、先回りして準備しておくことで手が止まってしまうことを防いでいます。

4-2. コミュニケーションスキル

次に必要なスキルとして、目的を達成するために他人を巻き込むことができるコミュニケーションスキルです。

例えば、外部結合テストで担当外のシステムと疎通確認する場合は、有識者にインターフェースの仕様を確認したり、サーバーサイドエンジニアがフロントの機能を操作する場合は、オペレーターに実運用をヒアリングするなどです。

システム開発の現場ではポジションが上がるほど、独力でできることが減ってきますので、日頃からプロジェクトメンバーとの関係性を築いておくことがポイントです。

4-3. 自己管理能力


リモート勤務で良く聞くのが、監視する人がいないため、休憩時間にテレビやスマートフォン、ゲームなどを始めたら気付くと何時間も経っていた。

気分転換に近くのコンビニに買い物に行ったら、知り合いと会って何時間も話してしまったなど、自己管理が難しいケースもあるようです。

人間は怠けてしまうことがありますので、その日にやらなければならないタスクの時間配分を決めておいて、「早く終わったら息抜きしよう」など自分のモチベーションをコントロールする工夫をしましょう。

逆に真面目で責任感の強い人は、勤務時間に縛られずに働けるために、働き過ぎて長時間労働になりやすく、会社も気付くのが遅くなるケースがあります。

残業する場合は理由書を提出するルールを設けて、長時間残業を抑制するなど、リモート勤務であっても適切な働き方ができるようにマネージャーは仕組みを考える必要があります。

5. 今後のリモート勤務の動向

最後に今後のリモート勤務の動向について、介護や育児などで特別な理由がなければ、出勤を促す企業も増えており、徐々にコロナ禍前に戻っていくことが予想されます。

下記は総務省が発表しているリモート勤務の実施率ですが、大企業はリモート勤務を維持している反面、中小企業など体力のない会社はリモート勤務の管理体制が出来ておらず大企業の半数となっているのが実状です。


(出典)東京商工リサーチ「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査(第2~6、8、10、14回)を基に総務省作成



今後、リモート勤務を前提にライフワークバランスを考えている方は、「自走できる開発力」、「コミュニケーションスキル」、「自己管理能力」の習得はもちろん、リモート勤務の体制が確立している企業への転職を検討しましょう。

また、リーダーやマネージャーとしてのポジションを目指す方は、リモート勤務であってもプロジェクトメンバーの生産性を維持する仕組み作りを考えていくことが重要です。