IT業界でエンジニアがワークライフバランスを実現する方法

IT業界は、人の入れ替わりが激しく、常に新しい技術やサービスの開発が求められるため、エンジニアの仕事は多忙であることが多いです。

しかし、仕事に専念しすぎてプライベートを犠牲にしてしまい、気付いたら家族や友人との大切な時間を過ごせず、自分の仕事の仕方に疑問や不安を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、エンジニアがワークライフバランスを追求するために、どういった方法がとれるのか、企業の視点と個人の視点でそれぞれ考えていきます。

1. IT業界のワークライフバランス


一時期、「ブラック企業」というキーワードが流行り、IT業界のその一部に含まれていましたが、ワークライフバランスの実現は決して難しいものではありません。

実際にエンジニアの人口は需要に対して供給が追いついておらず、1人当たりの生産性を多く求められることはあります。


また、システムの不具合やプログラムのバグなどで夜間や休日に緊急の対応を迫られることもあり、そういったイレギュラー対応がネガティブなイメージに繋がっているのでしょう。

ですが、今やデジタル技術は企業のビジネスの根幹を支える重要な仕組みであり、新たなサービスや商品を開発するため、各企業は技術者の調達を迫られています。

そういったエンジニアの社会的な価値が高まり、貴重な人材を定着させるためにも、IT業界のワークライフバランスは、今後も改善されていくことが期待されます。


働き方改革が進む中、働く人たちがより充実した生活を送ることができるよう、さまざまな取り組みが求められています。

1-1. ワークライフバランスとは

ワークライフバランスとは、仕事とプライベートの時間をバランスよく取ることを指します。

これは、メンタルとフィジカルの両方の健康を維持するためにも重要であり、人生を充実したものにするためにも欠かせない取り組みです。

2. ワークライフバランスを意識する企業は増加


ワークライフバランスの考え方を取り入れた企業ではどのような効果が期待できるのか、実際の事例とともに見ていきましょう。

2-1. 優秀な人材の確保

企業にとって一番のメリットは、優秀な人材が確保できることや、離職率を下げられることです。

なぜなら、多忙なスケジュールをこなすことができる優秀な人材ほど、企業の取り組みや方針に注目しており、動向を気にしているからです。

SCSK株式会社では、2013年度より有給休暇取得率100%達成を目指して、年度初めに休暇取得計画を立てる取り組みが始まりました。


また、2014年にはシステムトラブルなどの不測の事態に備えた5日間のバックアップ休暇を設け、働き方改革に関する表彰も受けたことで、優良企業としての認知度と信頼度を向上させています。

結果として、SCSK株式会社では、新入社員採用時の応募総数が約1.5万人から約2.7万人に増加し、優秀な人材の確保につながりました。


そういった人材を確保するためにも、企業はワークライフバランスの重要性を理解し、働きやすい環境を作ることで、エンジニアのモチベーションや生産性を向上させることができます。

2-2. 創造性やイノベーションの促進

ライフワークバランスを重視することで、従業員はリフレッシュし、創造性を高めることができます。

また、仕事とプライベートの両方に時間を割くことができるため、様々な情報を収集し、アイデアを出しやすくなるというメリットもあります。


NTTグループでは2021年9月から、「転勤・単身赴任廃止」を宣言し、サテライトオフィスを拡大させリモートワークへの移行を推奨しています。

それにより従業員の満足度向上や、本社機能を地方へ分散することにより、都心を中心のヒエラルキーを改善し、地方拠点のモチベーションアップにも繋げることができます。


このように、従業員の満足度と働きやすさが向上し、企業の離職率や、創造性やイノベーションの促進にもつながり、企業の競争力を高めることに成功しています。

3. ワークライフバランスを実現するために


3-1. 個人の取り組み

ワークライフバランスを実現するためには、エンジニア自身も積極的な取り組みを行うことが大切です。

以下に、個人がワークライフバランスを追求するためにできる具体的なアクションを紹介します。

スケジュールの管理

自分の仕事やプライベートの予定をしっかりと管理することが重要です。

仕事のスケジュールが固まる前に、仮でも良いので定期的な休暇や休憩時間を設けておき、仕事とプライベートの時間を明確に区別しておくと、バランスを取りやすくなります。

プライオリティの設定

仕事の優先順位を明確にすることも重要です。タスクの重要度や緊急度を見極め、効率的に仕事を組み立てることで、時間の使い方を最適化し、余裕を生み出すことができます。

コミュニケーションの活性化

上司やチームメンバーとのコミュニケーションを活発に行うことで、仕事の進捗状況や問題点を共有しやすくなります。

これにより、適切なサポートや助言を受けることができ、仕事の負荷を軽減することができます。

スキルの向上と自己成長

個人のスキルの習得やキャリアの成長もワークライフバランスを追求する上では重要な要素です。

自己啓発のために、学習やトレーニングに積極的に取り組み、自身の能力を向上させることで、仕事の生産性が上がったり、仕事に対する自信や満足感を高めることができます。

3-2. 企業の取り組み

企業に関しても、ワークライフバランスを追求することで、従業員の生産性向上やストレスの軽減、優秀な社員の増加などのメリットが得られることが分かりました。

具体的には、以下のような取り組みを行うことで、ワークライフバランスの実現を目指すことができます。

フレックスタイム制度の導入

従業員が自分の都合に合わせて勤務時間を調整できるフレックスタイム制度を導入することで、仕事とプライベートの両立が可能になります。

例えば、出勤時間をいつもより数時間早めることで、夕方以降は家族との団らんや趣味、スポーツなどの時間を確保しながら、日中は定時刻で終われるように従業員は仕事に集中することができます。

テレワーク制度の導入

オフィスに出社する必要がなく、自宅やカフェなどから仕事ができるテレワーク制度を導入することで、通勤時間の削減や、家族の世話などをしながら仕事ができるなどのメリットがあります。

また、不必要なコミュニケーションや会議が減るため、自分のペースで仕事を進めることができるため、ストレスが軽減される場合もあります。

有給休暇の積極的な推奨

有給休暇を取得することで、仕事とプライベートのバランスを取ることができます。

しかし、仕事が忙しいために有給休暇を取得しづらい、あるいは取得できても実際には仕事をしているという状況があります。

企業側は、有給休暇の取得を積極的に推奨し、取得率を高めるよう努めることが大切です。

キャリアアップ支援

従業員のキャリアアップを支援することで、モチベーションの向上や仕事への取り組み方の改善、ストレスの軽減などが期待できます。

具体的には、研修やセミナーの実施、スキルアップのための時間や費用の支援、キャリアアップのアドバイスやキャリアプランの策定などが挙げられます。

また、従業員の能力や適性に応じて、プロジェクトの配属や昇進の機会を提供することで、やりがいや成長の機会を与えることも重要です。

4. まとめ


エンジニアのワークライフバランスの追求は、個人と企業の双方の取り組みが必要です。

IT業界では、ワークライフバランスを意識した働き方やコミュニケーションツールの活用が増えており、優秀な人材確保や生産性の向上に繋がっています。


一方で、個人も自己管理やスキルの向上に努めることで、ワークライフバランスを実現することができます。

今回ご紹介したいくつかの方法を取り入れて、積極的な取り組みを行ってもらえれば幸いです。