TCP/IPネットワークでよく使われるデータリンクであるイーサネット、無線LAN、PPPなどについてさらに学習していきます。
ネットワークの基礎⑥
1. イーサネット
イーサネットとは、有線ネットワーク通信における標準規格です。
通常使われているイーサネットの規格は、IEEE802.3と呼ばれています。
米国の電子技術に関する学会であり、IEEE(アイトリプルイー)のLAN標準化を目的として設立されたIEEE802委員会によって策定されました。
イーサネットは、他のデータリンクより制御のしくみが単純なため、NICやデバイスドライバが作りやすいという特徴があります。
イーサネットのNICは低価格で利用できたこともあり、どんどん普及していきました。
現在では、高速ネットワークへの対応も進み、互換性と将来性を備えたデータリンクとなっています。
1-1. イーサネットの接続形態
かつてのイーサネットネットワーク例
※ターミネータとは、コンピュータの周辺機器のコネクタやケーブルの終端装置になります。
これにより、信号が終端での伝送路内を乱すのを防ぎます。
現在のイーサネットワーク例
1-2. イーサネットの種類
例:イーサネットの種類 10BASE2
10BASE2の特徴として、ケーブルの長さが185m(最大ノード数30)、ケーブルの種類は同軸ケーブルになります。
10BASEは、伝送速度を表しており、10Mbit/秒のことです。その後ろにつく、2は媒体を表しています。
通信速度が同じで、通信ケーブルが違う場合は、通信媒体が変換できるリピーターやハブなどで接続することができます。
通信速度が違う場合は、速度変換機能を持つブリッジやスイッチングハブまたはルーターでなければ相互に接続することができません。
LANケーブルの種類|カテゴリと選び方 (yamanjo.net)
■伝送速度とコンピューター内部の値の相違
コンピュータの内部では、2進数を採用しています。
一方、イーサネットでは伝送時に利用されるクロック周波数によって伝送速度が決まります。
・UTP…
Unshielded Twisted Pair Cable、シールドなしのツイストペアケーブルのことです。
・カテゴリ…
米国通信工業会が定めているツイストペアケーブルの規格でカテゴリが高いほど、より高速な通信に対応した規格になっています。
1-3. イーサネットの歴史
イーサネットは、同軸ケーブルを使うバス型(全ての機器を一筆書きできるような構成)接続の10BASE5が最初に規格化されました。
その後、10BASE2(thinイーサネット)、10BASE-T(ツイストペアケーブル)、100BASE-TX(ファストイーサネット)1000BASE-T(ギガビットイーサネット)、10ギガビットイーサネットなど数多くの規格化がされてきました。
当初のイーサネットは、アクセス制御方式がCSMA/CDが採用されており、半二重通信が前提とされていたのですが、それでは高速化は難しいとされてきました。
そんな中、ATMでのスイッチ技術の進化とカテゴリ5のUTPの普及により、媒体非共有でスイッチと接続できるようになり、衝突がおきなくなり高速化されるようになりました。
イーサネットはどんどん進展を続けていきました。
1-4. イーサネットのフレームフォーマット
これは、相手のNICと同期をとるためのものです。
末尾は「11」のSFD(Start Frame Delimiter)と呼ばれるフィールドで終わります。
それ以降がイーサネットフレームの本体になります。プリアンブルとSFDは合わせて8オクテットになります。
※Ethernetでは末尾の2ビットをSFDと呼び、IEEE802.3では最後の1オクテットをSFDと呼びます。
イーサネットのプリアンブル
フレーム本体の先頭にくるイーサネットのヘッダは、
・宛先MACアドレスのフィールドが6オクテット
・送信元MACアドレスのフィールドが6オクテット
上位層のプロトコルの種類が2オクテットと合計14オクテットあります。
ヘッダの後ろにデータがきます。
1つのフレームの中に入るデータは45〜1500オクテットです。
フレームの最後には、FCS(Frame Check Squence)という4オクテットのフィールドがあります。
■イーサネットの本体のフレームフォーマット
Ethernetフレームフォーマット
IEEE802.3 Ethernethフレームフォーマット
宛先MACアドレスには宛先ステーションのMACアドレスの格納、送信元MACアドレスにはイーサネットフレームを作り出した送信元のステーションのMACアドレスが格納されています。
タイプにはデータ部で運んでいるプロトコルを表す番号が格納されています。
上位層のプロトコルのことを指しています。
例:
タイプの番号が
・0800はプロトコル InternetIP(IPv4)
・0806はARP、8035はRARP
・86DDはIpv6
最後のFCS(Frame Check Sequence)は、フレームが壊れていないかチェックするフィールドです。
ノイズによる鰓-フレームは廃棄することができます。
2. 無線通信
無線通信では、電波や咳議選などを利用します。
オフィス内でLANの範囲を比較的高速で接続するものを無線LANといいます。
無線通信ではケーブルが不要で、移動して使うことが多い軽量の機器や省スペースで配線コストを削減できるというメリットから、オフィスや家庭、店舗などでも使われるようになってきました。
2-1. 無線通信の種類
無線通信は通信距離に応じて、以下の表のように分類できます。
無線WANの代表例は携帯電話です。
基地局を経由することで、長距離通信を可能にしています。
2-2. IEEE802.11
IEEE802.11は、無線LANプロトコルの物理層とデータリンク層の一部を定義したものです。
一通信方式として用いられることもあります。
IEEE802.11のすべての規格が利用されていて、MAC層ではイーサネットと同じMACアドレスが利用され、CSMA/CDとよく似ているCSMA/CAというアクセス制御方式を採用しています。
通常は、無線の基地局を用意し、それを介して通信を行います。
イーサネットとIEEE802.11の間をつなぐブリッジ機能を持った基地局もあります。
物理層で電波もしくは赤外線を用い、1Mbpsもしくは2Mbpsの通信速度を実現する規格で、現在では後発の規格より劣るため、ほとんど利用されていません。
2-3. IEEE802.11b、IEEE802.11g
伝達速度についてはIEEE802.11b、IEEE802.11gそれぞれで違うので、下図参照。
マルチメディアの使い方:WiFi標準802.11とWifiスペクトル (multimedia-howto.blogspot.com)
IEEE802.11と同じく、アクセス制御にはCSMA/CAを採用しています。
2-4. IEEE802.11a
無線LANの物理層として、5GHz帯の周波数を利用し、最大54Mbpsまでの伝送速度を実現する規格です。
IEEE802.11b/gと互換性があります。
2-5. IEEE802.11n
IEEE802.11gやaをベースに複数のアンテナを同期させて通信するMIMOという技術を採用し、高速化を実現しました。
最大150Mbpsの伝送速度が利用できます。
2-6. 無線LANを使用する場合の留意点
無線LANは、通信可能範囲であれば許された利用者以外でもこの電波を受信できるため、盗聴や改ざんといった危険を伴うことになります。
その対策として、送受信される時のデータの暗号化などが定められています。
データの暗号化に加え、認証された機器だけその無線LANを使用できるようにする必要性があります。
2-7. Bluetooth
Bluetoothは、IEEE802.11b/gなどと同じ2.4GHz帯の電波を使って通信する規格です。
通信可能な距離は、電波強度によって異なり、1m、10m、100mの3種類があります。
通信可能な端末台数は最大8台までです。
Bluetoothの対象は、携帯電話やスマートフォン、キーボード、マウスなどの小型機器です。
WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)は、マイクロ波を使い、企業や自宅への無線接続を行う方式です。
WiMAXは無線MANに属し、メトロポリタン、つまり大都市園をエリアとする広範囲なワイヤレスネットワークをサポートしています。
3. PPP
PPP(Point-to-Point Protocol)とは、ポイントツーポイント(1対1)でコンピュータを接続するためのプロトコルで、OSI参照モデルの第2層にあたるデータリンクプロトコルになります。
PPPは、電話回線やISDN、専用回線(専用線)、ATM回線などで利用されています。
最近では、ADSlやケーブルテレビなどを使ったインターネット接続でPPPoE(PPP over Ethernet)として利用されるようになり、転送する際にイーサネットのデータ部にPPPのフレームを格納しています。
4. まとめ
イーサネットと無線通信、PPPについて学んできました。
無線通信の種類もたくさんあり、私たちも用途に応じて普段身近に使っているものも多いのだと実感しました。