【初心者向け】CCNA基礎 2章

こちらでは、CCNAの資格取得へ向けた情報を記載いたします。

今回は、続きの2章となります。

1. OSI参照モデル


元々ネットワーク機器というものは、ベンダー(機器のメーカー)独自のプロトコルで通信していたためベンダーが異なると通信も出来ない状態でした。

更に、ベンダー自体も複数存在するため、1つのベンダーだけで機器を統一することが難しいため異なるベンダーの間でも通信が出来る様にする必要が出てきました。


そこで登場したのが「OSI参照モデル」です。

このモデルは、機種が異なっていてもあらゆるPCや機器、ソフトウェアが相互に接続出来る様にISO(国際基準化機構)によって定められたもので、これに基づいて設計されたプロトコル群が「OSIプロトコル」です。


しかし、現在はインターネットの普及により事実上は「TCP/IPモデル(TCP/IPプロトコルスイート)」が基準となり、OSIプロトコルは実際に利用されなくなってしまいました。

ですが、OSI参照モデルは通信時の基本的な概念として残っているためこれらをしっかり抑えておく必要があります。

2. OSI参照モデルの階層と役割


こちらでは、CCNAの資格取得へ向けた情報を記載いたします。

OSI参照モデルには、通信を行う機能を階層ごとに分け、各々の役割を定めています。

この階層は、全7階層で形成されており、送信元からデータ送信する際には上の階層(レイヤ数が高い方)から順番に各階層で通信に必要な情報が付加されます。

各階層は「レイヤ」と呼ばれ、上から順にレイヤ7(L7)、6(L6)・・・となります。


また、この様に各階層ごとに機能を分担する事によっていずれかの階層で仕様変更などが発生してもその層の機能をみたしていれば、他の階に影響を与える事はありません。

2-1. アプリケーション層(L7)

この層は、最上位の層となっており主にユーザが利用するアプリケーション間の、通信に関する規定をしています。

例えば、電子メールやWebブラウザ、ファイル共有などのサービスごとにそれぞれ必要なプロトコルが規定されている層となります。

2-2. プレゼンテーション層(L6)

この層は、通信時の文字コードなど主にデータの表現方式に関してを規定しています。

データ送信時に情報を解析し、送信側のアプリケーションが独自で使用している表現方式を共通の方式へ変換してくれる役割を持つのがこの層の特徴です。


一方データを受信する際には、受け取ったデータを受信側のアプリケーションの表現方式へ再変換するため、送信元と受信元で使用する機器がそれぞれ異なった表現方式でも、問題なく通信出来る様になります。

2-3. セッション層(L5)

この層の名前にもある「セッション」とは、通信開始時から終了時までを管理する工程の事を指します。

このセッションが確立する事で、正しくアプリケーション間での通信が可能になります。

そしてそのセッションの確立と終了に関する規定がされているのがこの層なのです。


機器では複数のアプリケーションを使用して通信を行っている場合もあり、その際にやりとりしているアプリケーションのデータが誤って別のアプリケーションへ届かない様に制御する役割を持っています。

主に、認証やログインの様なセッション開始や確立とログアウトの様なセッションの終了、または中断されたセッションの再確立などを行っているのもこの層です。

2-4. トランスポート層(L4)

この層は、ノード間の通信制御に関しての規定をしています。

送信元から送られたデータは、途中にある様々な機器を経由してから宛先へ運ばれるため、その輸送過程でデータが破損してしまうと、正しいデータを受け取る事が出来ず処理が出来ません。

それを防止するために、送信元から送信されたデータを破損させることなく宛先へ無事の届ける「通信の信頼性」に関する役割を持っているのがこの層です。


主に、エラーの検出や訂正、再送の制御やデータの並び順の整列などを行っています。

2-5. ネットワーク層(L3)

この層は、「エンドツーエンド(通信を開始する送信元から最終的な宛先までの端末間)」という、複数のネットワークを跨いだ通信に関しての規定がされています。

データを送信する際は、まずデータの届け先を指定する必要があります。

そうした宛先を識別するために必要なIPアドレス等に関するプロトコルが規定されているのもこの層です。


また、届くまでにはいくつかの機器を経由していく場合があり、その際にどの経路を通れば良いかを判断する機能が提供されています。

この機能により、エンドツーエンドでの通信が可能になるのです。

2-6. データリンク層(L2)

この層は、直接接続されたノード間の通信に関しての規定がされています。

通信の最終宛先は、ネットワーク層で規定されたアドレスで指定出来ますがそこに向かうためには、直接接続している機器間でデータを転送しなくてはなりません。


このように、直接接続されている機器間で相手を識別するためのアドレスに関する規定や、エラーの検出といった機能が提供されているのがこの層です。

2-7. 物理層(L1)

この層は、データを電気信号に変換したり物理的な接続に関しての規定がされています。

物理層でノード間を接続するケーブルや、その接続口の企画などを規定する事で機器間を物理的に接続する事を可能にするのがこの層です。

3. OSI参照モデルのメリットとは?


OSI参照モデルや後述するTCP/IPモデルでは先程記述した様に通信機能を階層化しています。

そこには

 ・機能を各階層ごとに分けることで、ネットワークの設計者やアプリケーション開発者がそれぞれの階層が持つ役割を理解しやすい。

 ・標準化がされているので、各ベンダー製品やプロトコルを組み合わせて設計や構築が出来る。

 ・プログラムの開発や改修が容易である。

 ・階層が分かれているので、何か障害などが起きても早い段階での切り分け・解決が出来る。


という様なメリットがあげられるため、この階層化を採用している背景があります。

4. カプセル化と非カプセル化について


「カプセル化/非カプセル化」とは、OSI参照モデルのみならず複数のプロトコルを使用する場合に行われる「動作」のことを指します。


まず、コンピュータ同士の通信は上層から下層へかけて順番にそれぞれの情報が付加され、各階層でデータ送信する際に、必要な情報を「ヘッダ」としてデータの先頭に付加します。

そのため、通信データは「ヘッダ」+「データ」の状態で送信されながら、最下層まで行きます。

この際に行うヘッダの付加を「カプセル化」と言います。


逆に、受信側となる場合は下層から上層へ順番にデータが渡され、各階層でヘッダの部分を確認して処理を行います。

そして、その際に先程付与されたヘッダ部分を取り外しながら、上層へデータを送信していきます。

このヘッダを外してデータ部分のみにすることを「非カプセル化」と言います。

5. まとめ


今回は沢山新しい単語が出てきましたが、前回同様、行っている動作自体はさほど複雑ではないため、理解することは割と容易だと思います。

後はひたすら覚えていくだけだと思いますので、まさに今勉強中の皆さんも、一緒に頑張っていきましょう。


今回記述できなかった「TCP/IPモデル」については、次回改めてまとめさせていただきます。