AIエンジニアになるために必要なスキル | その仕事内容を解説

AI技術を用いたサービスは、スマートスピーカーやChatBOT、株価予想など、ここ数年で大きく普及しており、その応用範囲が拡大する中、AIエンジニアはベンチャーから大手企業までニーズのあるとても人気の職業です。

この記事では、AIエンジニアになるためのロードマップとして、仕事内容、必要なスキル、有利な資格について詳しく解説します。

技術の最先端をいくAIエンジニアは、一つのアイデアが人々の生活を大きく変化させ、新たなビジネスモデルを確立できるため、ゼロからイチを作れるクリエイティブさがAIエンジニアの仕事が持つ大きな魅力の一つです。

1. AIエンジニアとは


AI(人工知能)エンジニアとは、AI技術を用いたソフトウェアの開発や、AIシステムの導入と運用を行う専門職です。

AIエンジニアの年収は経験やスキルによりますが、平均的には600万円前後です。


しかし、前述した通り、AI技術の普及に伴い、AIエンジニアへの需要は高まる一方で、今後ますますその価値は増していくと考えられます。

AIエンジニアに求められる役割は、AIソリューションの開発、既存プロセスの最適化、データドリブンな意思決定の支援があり、そのためのモデルの設計・開発を行いシステムへの組み込み、そしてパフォーマンスの監視と改善です。


また、AI技術が適用できる分野は多岐にわたるため、特定の業界知識が求められることもあり、技術的なスキルだけでなく、コミュニケーション力や問題解決のスキルも求められます。

1-1. 仕事内容

AIエンジニアの主な仕事内容は、AI技術を活用したアプリケーションやシステムの設計、開発、運用です。

具体的には、ビッグデータを分析してモデルを作成し、それをプログラミングすることが主な業務となります。

一般的なAIエンジニアの業務の進め方としては以下の通りです。

1.データの前処理

AIモデルを学習させるためには、まず適切なデータが必要です。

データの前処理とは、取得した原始的なデータをAIモデルが解釈可能な形に変換する作業のことを指します。

具体的には、不必要なデータの削除、欠損値の補完、異常値の検出といったデータクレンジング作業や、カテゴリデータの数値化(エンコーディング)などの作業を行います。

2.モデルの設計と学習

AIモデルの設計と学習を行うプロセスです。

AIモデルは、ニューラルネットワークや決定木など、どのようなアーキテクチャを選択するかは解きたい問題や利用可能なデータによって異なります。

モデルの設計が完了したら、前処理を行ったデータを使って、ニューラルネットワークや機械学習といった手法を用いてモデルを学習(訓練)させます。

3.モデルの評価と調整

学習させたモデルが適切に機能するかを評価するプロセスです。

これにはテスト用の学習データを用いてモデルの予測精度をチェックしたり、学習の過程を観察して過学習(overfitting)や学習不足(underfitting)が起きていないかを確認します。

また、モデルの性能が期待したものに達していない場合は、パラメータの調整やモデルの構造の見直しなどを行って改善を行います。

4.ソフトウェアへの組み込み

学習と評価が完了したモデルは、実際のソフトウェアやシステムに組み込みます。

これにはモデルの実装技術だけでなく、システム全体のアーキテクチャを理解する能力も求められることがあります。

5.モデルの運用と改善

モデルが完成した後もAIエンジニアの仕事は終わりではありません。

モデルが実際に運用されると、その性能は継続的に監視されます。

もし問題が発生した場合や、性能が低下した場合には、再度データの前処理やモデルの学習、評価と調整を行い、モデルを改善していきます。

2. 必要な知識・スキル


AIエンジニアに必要な知識やスキルは幅広いですが、これからAIエンジニアを目指す初学者に向けて必要な知識・スキルを解説します。

2-1. 1. プログラミングスキル

AIエンジニアは、AIモデルを設計し実装するため、PythonやR言語などの機械学習向けのプログラミングスキルが不可欠です。

特にPythonは、その多機能性とAIや機械学習のライブラリが充実しているため、一般的なAIモデルの開発に使用されています。

また、機械学習ライブラリであるTensorFlowやPyTorchの操作にも慣れておくことが必要です。

2-2. 2. 数学的知識

AIや機械学習のアルゴリズムは、大量のデータを扱い、それらから有用な情報を見つけ出すためには「統計学」、「線形代数」、「微分積分学」の3つの数学的知識が求められます。

1つ目の統計学は、統計モデルの理解、確率論、仮説検定、回帰分析といった領域を理解していると、AIモデルの動作原理が分かり、より効果的なモデル設計が可能となります。

2つ目の線形代数は、機械学習のアルゴリズムを理解し、効率的に計算を行うために欠かせない知識です。

特に、ベクトルや行列の操作、固有値や固有ベクトル、行列の分解といった概念に慣れ親しむことが求められます。

そして3つ目の微分積分学は、機械学習のアルゴリズムでよく使われる損失関数の最小化や、最適化問題の解を求める際に必要となる知識です。

これらの数学的なスキルを磨くことで、AIエンジニアとしての理解を深め、より高度なモデルを開発することができるようになります。

2-3. 3. 機械学習と深層学習の理解

AIエンジニアとしては、機械学習や深層学習のアルゴリズムとその特性を理解していることが重要です。

具体的には、教師あり学習、教師なし学習、強化学習などの学習方式や、ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、リカレントニューラルネットワークなどのモデル構造についての知識が求められます。

これらの違いや特徴を把握して、ビジネスや研究に最適なアルゴリズムを選択する力が必要です。

2-4. 4. データの前処理と解析能力

AIモデルの学習に使用するデータの前処理は、モデルの性能を大きく左右するため、AIエンジニアはデータクレンジングや特徴量エンジニアリングのスキルが求められます。

また、学習結果をビジネス上の課題に繋げられるように解釈し、企業の意思決定を支援する能力も重要となります。

これらの知識とスキルは、全てが必須というわけではなく、プロジェクトの内容や目指すキャリアパスにより変わります。

しかし、これらの基本的なスキルを身につけておくことは、幅広い領域で活躍することができるため、AIエンジニアとしての市場価値は高まるでしょう。

3. 役立つ資格


AIエンジニアとしてスキルアップを図るためには、資格取得が有効な手段の一つです。

特に、AI分野における資格はその技術力を証明するだけでなく、学習を通じてコミュニティに参加したり、新たな知識を得るきっかけにもなります。


たとえば、「E資格」は、日本ディープラーニング協会(JDLA)が主催している資格で、「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識」を有していることが証明できます。


また、「G検定」は「データサイエンティスト検定」とも呼ばれ、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施するAI・ディープラーニング活用のためのリテラシーを有しているかを認定する資格で人気があります。

特にG検定は、AIエンジニアだけではなく、AIのプロダクトやサービスを販売している営業職が保有していることもあり、AIに携わるビジネスパーソンには必須の資格とも言えます。


他にもDS検定(データサイエンティスト検定)や、AWS Certified Machine Learning-Specialtyなどがあり、どの資格を取得するかは、目指すキャリアパスによるため、よく考えて選ぶことが大切です。

4. まとめ

AIエンジニアとして成功を収めるためには、必要な知識とスキルを持つことはもちろん重要ですが、それと同じくらい重要なのが学び続ける意識です。

AIの領域は常に進化し続けており、今日学んだことが明日も通用するとは限らない世界です。

だからこそ、新しい知識をどんどん吸収し、自身のスキルをアップデートしていく意欲と、それを実現するための行動力が求められます。


また、AIの分野はそれ単体よりも、既存のビジネスと重ね合わせることで、大きな価値を生み出す領域でもありますので、社会のトレンドも把握しておくと良いでしょう。


AIエンジニアとしてのキャリアは困難に感じる方もいるかもしれませんが、それは同時に大きな可能性と成長の機会を秘めているということでもありますので、ぜひチャレンジしてみて下さい。