Linuxは、世界中で広く使われているオープンソースのオペレーティングシステムです。
Linuxを扱えるエンジニアは、インフラやサーバー、クラウドなどの分野で高い需要があります。
しかし、Linuxは多様で複雑なシステムであり、自分で学習するには限界があります。
そんなときに役立つのが、LPICというLinuxの資格です。
LPICは、Linux技術者としての技術力を認定する、世界的に認められた資格です。
LPICを取得することで、Linuxの基礎から応用までを網羅した知識とスキルを身につけることができます。
この記事では、LPICとは何か、LPICを取得するメリット、LPICの難易度と試験の概要、LPICの試験範囲について解説します。
エンジニアとしてのキャリアを積みたい方は、ぜひ参考にしてください。
LPICとは?エンジニアとしてのスキルアップに役立つLinux資格のメリットと難易度
1. LPICとは
LPICは、Linux Professional Institute Certificationの略称で、Linux技術者認定試験のことです。
カナダに本部を置くNPO法人Linux技術者認定機関「LPI(エルピーアイ)」の日本支部によって運営されています。
LPICは、Linuxのディストリビューションに依存しない、中立的な資格です。
つまり、Red HatやUbuntuなどの特定のLinuxの種類に関係なく、Linux全般の知識やスキルを評価します。
LPICは、3つのレベルに分かれており、それぞれに2つの試験があります。
レベルが高くなるほど、より高度な知識やスキルが求められます。
上位のレベルの試験を受けるには、下位のレベルの試験に合格している必要があります。
・LPIC-1
Linuxの基本操作とシステム管理ができることを認定する資格です。
101試験と102試験に合格する必要があります。
・LPIC-2
Linuxのネットワークやセキュリティなどの応用的な知識とスキルがあることを認定する資格です。
201試験と202試験に合格する必要があります。
・LPIC-3
Linuxの専門分野における高度な知識とスキルがあることを認定する資格です。
300試験に加えて、301試験、302試験、303試験、304試験のうち1つ以上に合格する必要があります。
2. LPICを取得するメリット
LPICを取得するメリットは、以下のようなものがあります。
1.Linuxの基礎から応用までを網羅した知識とスキルを身につけることができる
Linuxは、インフラやサーバー、クラウドなどの分野で広く使われており、Linuxを扱えるエンジニアは高い需要があります。
LPICを取得することで、Linuxのプロフェッショナルとしての技術力を証明することができます。
2.世界的に認められた資格であるため、就職や転職、昇進などのキャリアアップに役立つ可能性が高い
LPIによると日本企業の約7割でLinuxが導入されており、インターネットサーバーの50%以上がLinuxと高いシェアを誇っています。
Linux担当者自体が求められているだけでなく、Linuxに関するトラブルや問題に対応できる人材は重宝されます。
3.LPICは、さらなるスキルアップのためのステップとして活用できる
CCNP(Cisco Certified Network Professional)やCCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)といった上位の資格の基礎となる資格であるため、さらなるスキルアップのためのステップとして活用できます。
Linuxは、ネットワークやセキュリティなどの分野と密接に関係しており、LPICを取得することで、これらの分野の知識やスキルも深めることができます。
3. 難易度
LPICは、ネットワーク技術者の入門レベルの資格として位置づけられていますが、実際にはかなり高い難易度の資格です。
LPICの試験は、Linuxの基本的な概念や用語だけでなく、Linuxの構成や運用、トラブルシューティング、セキュリティや無線LANなどの応用的な内容も含まれています。
LPICの難易度を示す指標の一つとして合格率があります。LPICの合格率は、正式には公開されていませんが、LPIC-1で65%から75%程度、LPIC-2で45%前後と言われています。
3-1. Level1
Level1は、Linuxシステムの基本的な運用や管理に必要なスキルや知識を測るレベルです。
Level1には、LPIC-101とLPIC-102の2つの試験があります。
LPIC-101では、Linuxシステムのインストールやパッケージ管理、コマンドラインの操作などが出題されます。
LPIC-102では、ユーザーやグループの管理、ファイルシステムの管理、ネットワークの設定やセキュリティなどが出題されます。
Level1の難易度は、Linuxシステムを日常的に使っている程度の知識があれば、比較的簡単に合格できると言われています。
しかし、Linuxシステムに触れたことがない場合や、自己流で使っている場合は、基礎的な知識や用語をしっかりと理解しておく必要があります。
3-2. Level2
Level2は、Linuxシステムの応用的な運用や管理に必要なスキルや知識を測るレベルです。
Level2には、LPIC-201とLPIC-202の2つの試験があります。
LPIC-201では、カーネルやストレージ、ネットワークの管理や最適化などが出題されます。
LPIC-202では、Webサーバーやメールサーバー、DNSサーバーなどのサービスの設定や管理、セキュリティの強化などが出題されます。
Level2の難易度は、Level1よりも高くなります。Linuxシステムを運用や管理する立場になった場合に必要となるスキルや知識が求められます。
実務経験がない場合や、自分の担当範囲以外の知識が不足している場合は、幅広い分野について学習する必要があります。
3-3. Level3
Level3は、Linuxシステムの高度な運用や管理に必要なスキルや知識を測るレベルです。
Level3には、LPIC-300とLPIC-303の2つの試験があります。
LPIC-300では、Linuxシステムのセキュリティに関する知識や技術が出題されます。
LPIC-303では、Linuxシステムの仮想化やクラウドに関する知識や技術が出題されます。
Level3の難易度は、Level2よりもさらに高くなります。
Linuxシステムを高度に運用や管理する立場になった場合に必要となるスキルや知識が求められます。
また、実際にLinuxシステムをセキュアにしたり、仮想化やクラウドを利用したりすることを試しておくことも重要です。
4. LPICの試験概要
LPICの試験は、すべてコンピューターで行われるCBT(Computer Based Testing)方式です。試験は、日本語や英語など、複数の言語で受験することができます。
試験は、Prometric社が運営する試験センターで受験することが可能です。また、試験の申し込みや受験日の予約も、Prometric社のWebサイトで行うことができます。
4-1. 試験時間
LPICの試験時間は、すべて90分となっており、各科目60問が出題されます。
4-2. 合格点
LPICの合格点は、すべて800点満点中500点です。
ただし、各試験の問題数や難易度によって、合格点は変動する可能性があります。
試験の結果は、試験終了後にすぐに表示され、試験終了後に受け取ることができるスコアレポートにも記載されます。
4-3. 試験範囲
LPICの試験範囲は、各レベルに応じて、以下のようになっています。
LPICの試験範囲については、LPIのWebサイトで詳しく確認することができますので、効率的に学習するためには、試験範囲を把握して、自分の弱点を見つけることが重要です。
1.Level1
◆LPIC-101
・システムアーキテクチャ
・Linuxのインストールとパッケージ管理
・GNUとUnixのコマンド
・デバイス、Linuxファイルシステム、ファイルシステム階層標準
◆LPIC-102
・シェルとスクリプト、データ管理
・ユーザーインターフェースとデスクトップ
・管理業務
・基本的なシステムサービス
・ネットワーキングの基礎
・セキュリティ
2.Level2
◆LPIC-201
・カーネルの管理
・システムの起動
・ファイルシステムとデバイスの管理
・高度なストレージデバイスの管理
・ネットワークの設定と管理
・システムのメンテナンスとトラブルシューティング
◆LPIC-202
・DNSサーバー
・Webサーバー
・ファイル共有
・ネットワーククライアントの管理
・電子メールサービス
・システムのセキュリティ
3.Level3
◆LPIC-300
・暗号化とセキュアな通信
・ホストのセキュリティ
・アクセス制御
・セキュリティの監査とロギング
・セキュリティのベストプラクティスとポリシー
・オープンソースのセキュリティツール
◆LPIC-303
・仮想化の概念と技術
・仮想化の設定と管理
・クラウドの概念と技術
・クラウドの設定と管理
5. まとめ
LPIC資格は、Linuxシステムの運用や管理に関する国際的な資格です。
Level1からLevel3までの3つのレベルに分かれており、それぞれのレベルには2つの試験があります。
LPICの資格を取得すると、Linuxのスキルや知識を証明できるだけでなく、転職や年収アップにも有利になります。ぜひチャレンジしてみてください