フロントエンドエンジニアの需要と将来性、役立つ資格を解説

フロントエンドエンジニアは、ユーザーが直接触れるウェブサイトやアプリケーションのインターフェースを設計・開発する職業です。

フロントエンジニアの仕事は、ユーザビリティ、アクセシビリティ、パフォーマンスなど、ユーザーエクスペリエンスを左右する重要な部分を担います。


本記事では、フロントエンドエンジニアの需要、将来性、そして役立つ資格について詳しく説明します。

1. フロントエンドエンジニアの需要

デジタル化が進む現代社会において、フロントエンドエンジニアの需要は高まっています。

企業が自社のサービスや製品をオンラインで提供するためには、ユーザーフレンドリーなウェブサイトやアプリケーションが必要不可欠であり、その設計と開発はフロントエンドエンジニアの役割です。


また、経済産業省の調査によれば、2030年で最大約79万人のITエンジニアが不足すると予想されています。


経済産業省


これは、IT需要の拡大に対し、人材供給のペースが追いつかないことを示しており、特に、フロントエンドエンジニアはユーザエクスペリエンスに直接左右する役割を担うため、その需要はさらに高まると推測されます。

2. フロントエンドエンジニアの将来性


市場需要に伴い、フロントエンドエンジニアの将来性は明るいと言えます。

その理由として、テクノロジーの発展により、フロントエンドエンジニアが扱う技術が進化し続けているためです。


例えば、プログレッシブウェブアプリ(PWA)、APIファースト、ローコードサービスなど、新しい技術のトレンドはフロントエンド開発に大きな影響を与えています。

2-1. プログレッシブウェブアプリ(PWA)

ウェブサイトとネイティブアプリの良いところを組み合わせた新しい形のウェブアプリケーションです。

具体的には、WebサイトやWebアプリをネイティブアプリのようにインストールする技術で、HTML、CSS、Javascriptを用いて作成されます。


ネイティブアプリと違い、PWAはアプリストアを経由せず、直接Webサイトからインストールします。

これにより、ウェブサイトがオフラインでも動作したり、ホーム画面に追加したりといったネイティブアプリのような機能を提供できます。

2-2. APIファースト

API(アプリケーションプログラミングインターフェース)を設計し、それを基にアプリケーションを開発するアプローチです。

従来のアプリケーション開発では、そのアプリケーションが基礎となりAPIの仕様を設計していましたが、異なるデバイスや他の企業への公開を想定した設計にしておくことで、新たなビジネスチャンスを創出することが可能になります。


また、最初にAPIの設計をすることで、アプリケーション全体の設計も明確になり、開発効率が向上します。

2-3. ローコードサービス

ローコードサービスは、プログラミングスキルが少なくてもアプリケーションを開発できるプラットフォームです。

これにより、ユーザー自身がアプリケーションを作成し、ビジネスプロセスを自動化することが可能になります。


フロントエンドエンジニアにとって、ローコードサービスは新たなチャンスを提供します。

これらのプラットフォームを使いこなすことで、エンジニアはより高度な問題解決に集中でき、ビジネス価値を高めることができます。

3. フロントエンドエンジニアに役立つ資格


フロントエンドエンジニアにとって、技術的なスキルだけでなく、それを証明する資格も重要です。

以下に、フロントエンドエンジニアに役立つ資格を紹介します。

3-1. HTML5プロフェッショナル認定試験

HTML5プロフェッショナル認定試験は、HTML5、CSS3、JavaScriptの技術力と知識を認定する試験で、レベル1とレベル2の2つのレベルがあります。

レベル1

マルチデバイスに対応したWebコンテンツ制作の基礎の実力を測る試験で、学習期間の目安としては3か月~半年です。

試験時間は90分、問題数は約60問、受験料は16,500円(税込)です。

レベル2

システム間連携や最新のマルチメディア技術に対応したWebアプリケーションや動的Webコンテンツの開発・設計の能力を認定する試験で、レベル1の認定取得を前提としています。

学習期間は半年~1年、試験時間は90分、問題数は40~45問、受験料はレベル1と同じく16,500円(税込)です。

試験方式はコンピュータベースで、受験会場は全国各地の試験センターやオンライン受験が可能で、試験結果は受験後すぐに確認できます。

3-2. Webクリエイター能力認定試験

Webクリエイター能力認定試験は、Webサイト制作のデザイン能力およびWebページのコーディング能力を認定する試験です。

この試験はエキスパートとスタンダードの2つのレベルがあります。

エキスパート

ユーザビリティやアクセシビリティを考慮したWebデザインを表現でき、スクリプトを用いた動きのあるWebページの表示、マルチデバイス対応、新規サイトの構築が求められます。

学習時間の目安は38時間、試験時間は知識問題20分、実技問題90分、受験料は7,500円(税込)です。

スタンダード

セマンティックWebを理解し、HTML5をマークアップでき、CSSを用いてHTMLの構造を維持しつつ、Webページのデザインやレイアウトを表現できます。

学習時間の目安は24時間、試験時間は実技問題60分、受験料は5,900円(税込)です。

3-3. ウェブデザイン技能検定

ウェブデザイン技能検定は、Webサイト制作に必要なウェブデザインやシステム構築などの知識や技能、実務能力を問う試験で、特定非営利活動法人「インターネットスキル認定普及協会」によって実施されています。

試験は1級から3級に分かれており、それぞれ「実技試験」と「学科試験」の両方に合格しなければなりません。


3級は初心者向けで、HTMLの作成能力や基本的なWeb知識などが問われます。

一方、2級以降は実務的な内容が問われるため難易度が上がります。

なお、合格率は3級が60~70%、2級が30~40%、1級が10~20%となっています。


試験の申し込み方法は、インターネット受検申請と郵送による受検申請の2つがあり、受検資格は3級は誰でも受検可能ですが、2級以降は実務経験や職業訓練修了などの条件が必要です。

ウェブデザイン技能検定の取得は、Webデザイン未経験の人がWebデザイナーに転職する際や、すでにWebデザイナーとして働いている人が自分のスキルを確認・証明するために有用です。

4. まとめ


フロントエンドエンジニアは、デジタル化が進む現代社会においてますます重要な役割を担っています。

その需要は高まり続け、新しい技術の発展に伴い、その役割はさらに広がりを見せています。


また、資格を取得することで、自身のスキルを証明し、キャリアをさらに発展させることが可能です。

フロントエンドエンジニアとしてのキャリアを追求することは、確実に将来性のある選択と言えるでしょう。