ITパスポート試験過去問例

ITパスポート試験は、数種類ある情報処理技術者試験の中で、もっとも初級の入口にあたる試験です。

ちなみにお題目は「ITに携わる人職業人として誰もが共通に備えておくべき基礎的な知識をはかる」というものです。

パソコンが広く活用されるようになった現代では、是非ともおさえておきたい基礎知識だといえます。


といっても、相変わらずITといえば慣れない人にはチンプンカンプンな横文字専門用語が目白押し。

そのためにも試験では、「まず解説書を一冊完読して、用語や計算になれること」が欠かせません。


本記事では、初心者向けにITパスポートの特徴や過去問に触れていきたいと思います。

1. ITパスポート試験とは


1.ITパスポート試験の位置づけ

ITパスポート試験は、国家資格である情報処理技術者試験の12区分の1つであり、初級レベル(レベル1)に位置づけられています。

2.受験資格・年齢制限・受験料

ITパスポート試験に限らず、情報処理技術者試験はすべての受験者に関する制限がありません。

学歴や年齢を問わず誰でも受験できます。

令和2年4月〜9月のITパスポートの受験者の社会人:学生の比率は69.2%:30.8%です。

また、学生のうち大学生が最も多く受験しています。受験料は7500円(税込み)です。

3.試験内容

 試験時間:120分
 
 出題数:小問100問

 出題形式:4肢択一

 出題分野:ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系

 合格基準:総合評価点600点以上/1000点(総合評価の満点)
       ストラテジ系300点以上/1000点
       マネジメント系300点以上/1000点
       テクノロジ系300点以上/1000点

採点方式:IRT(Item Response Theory:項目応答理論)に基づいて解答結果から評価点を算出します。

IRTは難易度によって重みを付ける理論ですが、受験する上では均等であると解釈しても差し支えありません。

4.CBT方式

ITパスポート試験は、2011年11月からCBT(Computer Based Testing)方式に移行しました。

具体的には、パソコンに表示される問題に対し、受験者はマウスやキーボードを用いて解答します。

2. ストラテジ系の問題


問題:

政府が定める”人間中心のAI社会原則”では、三つの価値を理念として尊重し、その実現を追求する社会を構築していくべきとしている。

実現を追求していくべき社会の姿だけを全て挙げたものはどれか。


a.持続性ある社会

b.多様な背景を持つ人々が多様な幸せを追求できる社会

c.人間があらゆる労働から解放される社会

d.人間の尊厳が尊重される社会


ア.a,b,c

イ.a,b,d

ウ.a,c,d

エ.b,c,d


答え:イ


人間中心のAI社会原則は、AI(人工知能)を有効かつ安全に利用できる社会を構築するために必要となる社会の在り方を示した規範です。

この問題はa~dを読み進めていって、消去法で解答したらいいと思います。

3. ストラテジ系の問題


問題:

ソフトウェアライフサイクルを、企画、要件定義、開発、運用のプロセスに分けた時、要件定義プロセスの段階で確認又は検証するものはどれか。


ア.システム要件とソフトウェア要件の一貫性と追跡可能性

イ.ソフトウェア要件に関するソフトウェア設計の実現可能性

ウ.ユーザーや顧客のニーズ及び要望から見た業務要件の妥当性

エ.割り振られた要件を満たすソフトウェア品目の実現可能性


答え:ウ


要件定義プロセスは、利害関係者ニーズの識別と制約事項の定義を行い、新たに構築する業務、システムの仕様、及びIT化の範囲と機能を明確にし、それらをシステム取得者側の利害関係者間で合意すること。

「定義して明確にして合意すること」、要件”定義”なので、可能性を考えるのは外部設計以降で行います。

4. マネジメント系の問題


問題:

システムの開発側と運用側がお互いに連携し合い、運用や本番移行を自動化する仕組みなどを積極的に取り入れ、新機能をリリースしてサービスの改善を行う取り組みを表す用語として、最も適切なものはどれか。


ア.DevOps

イ.RAD

ウ.オブジェクト指向開発

エ.テスト駆動開発


答え:ア


このように用語を当てる問題は、正解以外の解答の用語の意味も調べると良いと聞きました。

DepOpsとは、開発を意味するDevelopmentと運用を意味するOperationsを組み合わせた造語で、開発チームと運用チームが緊密に協力・連携し、自動化ツールなどを活用して柔軟かつスピーディに開発を進めるソフトウェア開発手法です。


RADとは、Rapid Application Developmentの略。統合開発環境によるプログラミングの半自動化や、視覚的な方法を用いたユーザーインターフェースの設計、モジュール開発などの機能を備える開発ツールを使い、短期間に目的プログラムを作成することを重視した開発スタイルです。


オブジェクト指向開発は、データとそのデータに対する操作をひとつのまとまりとして管理し、そのまとまりを組み合わせてソフトウェアを開発する手法です。

テスト駆動開発は、プログラムを記述する前にその機能に合うテストケースを作成し、そのテストを通過するようにプログラムを実装するテストファーストの開発手法です。

5. テクノロジ系の問題


問題:

関係データベースの表を正規化することによって得られる効果として、適切なものはどれか。


ア.使用頻度の高いデータを同じ表にまとめて、更新時のディスアクセス回数を減らすことができる

イ.データの重複を排除して、更新時におけるデータの不整合の発生を防止することができる

ウ.表の大きさを均等にすることで、主記憶の使用効率を向上させることができる

エ.表の数を減らすことで、問い合わせの応答時間を短縮することができる


正解:イ


正規化とは、データの重複をなくし整合的にデータを取り扱えるようにデータベースを設計することです。

正規化を行っておくと、データの追加・更新・削除などに伴うデータの不整合や喪失が起きるのを防ぎ、メンテナンスの効率を高めることができます。

選択肢の中でそれを言っているのは”イ”なので、それが答えですね。

6. まとめ

いかがだったでしょうか。

ITパスポート試験はレベル1の試験だといいましたが、2022年度の合格率は51.6%です。意外と少ないと思いませんか。

また経験者はわかると思いますが、ITパスポート試験は結構暗記をします。暗記が苦手な方は最初つまずくと思います。


しかし、ITパスポート試験を乗り越えた先には「自分はITに向いている人材なんだ」と自信がつくでしょう。

「ITパスポート試験」という、最初の壁が難関すぎるのですが、乗り越えたら「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」というさらなる壁が待っています。

ITは恐ろしいですね。


しかし乗り越えた先には達成感が待っています。評価されるIT人材になれます。お互い頑張りましょう。