ネットワークの基礎⑧

ネットワークの基礎⑧

1. 公衆アクセス網

公衆通信サービスとは、NTTやKDDI、ソフトバンクなどの通信事業者に料金を払い通信回路を借りる形態です。

自宅や会社など、離れた拠点間での通信ができるようになり、ISP(Internet Service Provider)契約すればインターネットに接続することも可能です。

アナログ電話回線、モバイル通信、ADSL、FTTH、ケーブルテレビ、専用回線、VPN、公衆無線LANなど、様々な回線があります。

1-1. アナログ電話回線

固定電話回線を利用して通信を行います。

電話回線の音声部分の帯域を使ってインターネットにダイアルアップ接続する場合に利用されていて、一般家庭に広く普及している電話網をそのまま利用できます。


パソコン等のやり取りを行うためには、アナログ信号をデジタル信号に変換するモデムが必要になります。

モデムによる通信速度は56kbps程度と低速なため、現在ではほとんど利用されなくなっています。


モデム…電話回線を使ってインターネットに接続する時に必要な機械です。


モデム・ONU・ルーター 役割の違いとは?簡単に解説|光回線のeo光[イオ] 公式サイト (eonet.jp)


ダイアルアップ接続

1-2. モバイル通信サービス

モバイル通信サービスは、携帯電話会社が提供する回線を使ったインターネット通信のことで、サービスを利用できる範囲であればどこでもネットワーク接続できます。

1G、2G、PHS、3G、4G、5Gと規格化が進み、現在は4GーLTEが主流で、この規格に対応したスマートフォン等のモバイル端末で利用されています。


通信速度も数十Kbps〜数十Mbps程度となり程々高速です。

現在普及してきている5Gの規格では、低遅延な通信環境が提供されます。

1-3. ADSL

ADSLは既存のアナログ電話回線を拡張して利用するサービスです。

範囲としては家庭等の電話機から電話局交換機までの回線間です。

その間は高速な通信を行うことができます。


スプリッタとよばれる分配機を設置して、音声用の低周波とデータ通信用の高周波を混合・分離します。

ADSLは「xDSL」とよばれるものの1つで、他には、VDSL、HDSL、SDSLなどがあり、もっとも普及している方式です。

回線速度は、ISPから家庭・オフィスが1.5Mbps〜50Mbps、家庭・オフィスからISPが512kbps〜2Mbps程度になります。


ADSL接続

1-4. FTTH(Fiber To The Home)

FTTHは、Fiber To The Homeの略称です。

高速の光ファイバーを、ユーザーの自宅や会社の建物内に直接引き込む手法で、直接コンピューターに接続するのではなくONUという装置で、光を電気信号に変換してコンピューターやルーターに接続します。


FTTH接続


FTT○=Fiber To The ○○○といいます。


 ・FTTH(Hpme):通信事業者から各家庭へ。

 ・FTTB(Building):通信事業者からビルへ。
     共用部分のMDF(主配線盤)につなぎ、そこからLANケーブルや電話回線などのメタルケーブルを利用して各部屋までつなぎます。

 ・FTTN(Node):多くのケーブルテレビ会社がFTTNを採用しており、途中までは光回線で、途中からは同軸ケーブルを利用していて、上記二つよりは通信速度は遅くなるケースが多いです。

 ・FTTC(Curb):周辺の住宅で共同で利用


光スプリッタで分岐せずに収容局とユーザ宅を1対1で接続する方式を「シングルスター方式」、分岐して1対複数で接続する方式を「ダブルスター方式」といいます。

なお、光ケーブルは通常は送信用と受信用とで別々の2本のペアとして利用しますが、FTTHでは簡易WDMを用いて送受信を1本のケーブルでまかないます。

各家庭へと引き込まれる光ケーブルは、ONUとOLTの間にある光スプリッタで分岐します。


光スプリッタ


FTTH(Fiber to the Home)向け世界最小の光スプリッタを開発 | FDK


WDM


1心8波10G 波長多重装置 (FA4206 XG-WDM) - 富士通 (fujitsu.com)

 ・ONU…光回線終端装置で、光回線の信号をデジタル信号に変換する装置です。
    また、ユーザー側の終端につける装置になります。

 ・OLT…光回線でインターネットをするときに使用する機械で、光回線の電気通信議場者(NTTなど)側の終端につける装置になります。

1-5. ケーブルテレビ

本来であれば電波を使って各建物に設置したアンテナで放送を受信するのですが、ケーブルテレビでは、大型のアンテナで放送を受信して、その受信した放送をケーブルを使って各家庭へ配信してくれます。


近年、ケーブルテレビを使ったインターネット接続サービスが広く使われるようになりました。

ケーブルテレビ局のサービスに加入する必要がありますが、テレビ放送や専門チャンネルと同時に申し込むとお得になることもあります。

加入者宅にデータ通信用のモデムを設置し、放送局に設置されているヘッドエンドという装置と通信することになります。


ヘッドエンドは、1つのケーブルでデジタルデータを送受信するように変換するものになります。


ケーブルテレビによるインターネット接続


1-6. 専用回線(専用線)

インターネット利用者の増加により、専用回線サービスの低価格化、広帯域化、多様化が進み、現在はさまざまな「専用線サービス」が提供されています。

例:メガデータネッツ、ATMメガリンクサービス、ギガストリームなど


専用回線の接続は必ず1対1で行うため、複数拠点での接続ができません。

第三者の利用状況などに影響を受けることがないので、一定の通信速度で安定した通信ができます。

1-7. VPN(Virtual Private Network)

VPNとは、「仮想」専用通信網のことをいい、通信事業者の公衆回線を経由して構築した仮想的な組織内ネットワークまたはその環境を構築できる通信サービスです。

VPNサービスには、IP-VPNと広域イーサネットがあります。

・IP-VPN

IP‐VPNとは、閉域VPNとも呼ばれ、インターネットを介さない閉域網での通信が可能で、インターネットに接続する手前の通信キャリアで提供するネットワーク、インターネットプロバイダーのプロバイダーを経由して、インターネット接続をします。

通信事業者の通信網を活用するため、セキュリティが高いのが特徴です。

自前での通信網を構築することは困難なため、通信事業者へのサービス加入が必須となります。


IP‐VPNの仕組み


・広域イーサネット

通信事業者が提供する離れた地域を結ぶイーサネット接続サービスで、VLANを利用してネットワークに接続します。

利用企業で同じVLANを指定すると、どこからでも同じネットワークに接続できます。


IP-VPNはIP層での接続サービス、広域イーサネットはデータリンク層であるイーサネットを利用するので、TCP/IP以外のプロトコルも利用できます。

1-8. 公衆無線LAN

公衆無線LANは、Wi-Fiを利用したサービスになります。

ホットスポット(HotSpot)と呼ばれる電波受信可能エリアを人が集まるところに設置し、無線LANインターネットを持ったラップトップ型の端末から接続します。


ホットスポット経由でインターネットに接続できます。

また接続後は、IPsecを利用したVPN経由で自分の会社への接続もできます。

1-9. その他の公衆通信サービス

・x.25

x.25網は電話網の改良版的なネットワークで、1つのポイントから複数のサイトに同時に接続することが可能なサービスです。

9.6kbpsまたは64kbpsの伝送速度を持ちます。

現在はあまり使われていません。

・フレームリレー

x.25を簡素化して高速化したネットワークで、1対複数の通信が可能になります。

64kbps〜1.5Mbpsの伝送速度を持ちます。

現在は広域イーサネットやIP‐VPNを利用する人が増え、フレームリレーの利用者は減少しています。

・ISDN

ISDNは、Integrated Services Digital Network(統合サービスデジタル網)の略称で、電話やFAX、データ通信など、すべてデータをデジタルにして扱うことのできる公衆ネットワークになります。

現在は他のサービスへの移行も進み、利用者が減少しています。

2. まとめ


現在までにさまざまな回線を使用した公衆アクセス網が生み出されてきたと同時に、技術の進展の過程で利用者が減っているものもたくさんあることも分かりました。

一通り、データリンクについての学習をしてきて、普段使っている、HDMIケーブルも2000年代に入ってできたものだと知ったり、実家でケーブルテレビで、番組を見ていたこともあったりと、技術の進展の恩恵を受けるな~としみじみ思いました。

技術の発展の速さを実感してますが、私自身もその技術について知識を身につけたり使っていけるようにしていきたいです。