【これからJP1に触れる人向け】JP1とは

開発プロジェクトに携わる際にJP1というツールに触れたことはあるだろうか。

JP1は開発工程、特にテスト作業においては非常に利便性の高いツールである。


この記事ではまだJP1に触れたことがない人向けにJP1の概要やJP1を合う買う際に知っておくべき用語を取り上げる。

1. JP1とは何か


JP1とは1994年にリリースされた日立製作所が開発・提供している企業向けのITシステム総合システム運用管理ソフトウェアツールであり、主に大手の銀行や保険会社など様々な企業のシステムの運用保守で多いなる活躍を見せている。


リリースして以降、運用管理ツールでの日本国内シェアにおいてトップの売り上げに君臨していることから、JP1は日本で最も使用されている運用管理ツールであるといえるだろう。

企業や組織などの扱っているITシステムは年々複雑化及び多様化が滞ることなく進展しているが、JP1はそれらを統合管理することが可能である。

そのようにリリース以来からシステムや時代の変化に負けずに、常に新たなバリューを提供し続けてきた結果、JP1は大手企業を中心とした企業や官公庁などといった多種多様なお客様から多大なる支持を受けてきた。


JP1にも様々な製品シリーズがあるが、その中でもJP1/Automatic Job Management System3(AJS3)は複雑な業務の自動化や進捗・実行状況を全体的に把握してくれるため、特に多くの企業で採用されている。

2. 仕組み


JP1は主にシステムの稼働状況監視、業務やIT自動化、IT資産やインフラの管理などを統合的に運用支援していく。

JP1は、「オートメーション」、「モニタリング」、「コンプライアンス」といった3つの分野を駆使し、企業のニーズに合わせたITシステムを構築していくことにより、利便性の高い運用を目指していく。

2-1. オートメーション

オートメーションは業務やIT運用の自動化を実装することにより人為的なミスを防止し、高品質かつ効率的なシステム運用の実現が可能になる。

・IT運用自動化(JP1/Automatic Operation):

単純な作業から複雑まで、さまざまな作業をJP1でシンプルな操作で自動化できる。

様々なITオペレーションを計画的に自動実行することにより、時間短縮や業務の効率化、人為的なミスの防止することが可能である。

・ジョブ管理(JP1/Automatic Job Management System 3):

それぞれの業務に適応した繊細で膨大なスケジューリングなどを実施することにより複雑な業務の自動化が可能になる。


そのほかに、正常終了や異常終了しているかどうかをモニタリングすることにより、ジョブの進行・実行状況を把握したり、それによって障害を見いだせた場合、スムーズに対処したりすることも可能である。

2-2. モニタリング

モニタリングはサービスやシステムが稼働しているかどうかを監視し、サービス向上やシステム稼働のための様々な情報を提供する。

システムで現在起きている出来事、システムやサービスの監視をすることにより、異常事態発生の兆候を予知し、迅速な対応をとることが可能になる。

・統合管理(JP1/Integrated Management 3):

実行状況やログを見ることにより、システムが全体的に正常に稼働しているかどうかを集中的に監視する。

システム全体を監視することにより、障害発生時の迅速な対応が実現できる。

・ITサービス管理(JP1/Service Support):

ユーザーからの問い合わせやシステム障害などの案件にて、正確で効率的な対応ができるまでの全体的な状況の把握を実現し、一元管理することが可能になる。

2-3. コンプライアンス

コンプライアンスはIT資産を効率的に一元管理することを実現できる。

不正アクセスやコンピューターウイルス感染などといたセキュリティリスクを対処することにより、お客様のIT資産を防護することが可能になる。

・資産・配布管理(JP1/IT Desktop Management 2):

ソフトウェアライセンスの情報などの最新のIT資産情報を収集したり、セキュリティリスク診断・自動対策などといったセキュリティ対策したりするといった状況把握を一元管理することで、IT資産を有効活用することが可能になる。

・セキュリティ管理(JP1/秘文):

デバイス利用やネットワーク接続などを制限したり、ログを取得でデータ持ち出しを検知したりするなどの対策を練ることにより、社内の機密情報を社外へ不正に持ち出されることを未然に防止することが可能である。


また、メールに書かれた情報やリムーバブルメディアに記された内容、PC内のデータなどといった機密情報を暗号化することで、 盗難や紛失などのトラブルにあった際に社外の者に中身を解読させられる被害を未然に防止することも可能である。

3. JP1用語


3-1. ユニットとジョブ

JP1はジョブやユニットおよびそれをまとめるグループによって構成されている。


①ジョブ
業務をまとめたジョブネットワークの中で最も小さい単位を指す。

②ユニット
ジョブやジョブネット、ジョブグループの総称を指す。

③ジョブグループ
ルートジョブネットを分類したうえで階層管理するためのフォルダのことを指し、カレンダー情報などを設定することが可能です。

④ ルートジョブネット
ジョブグループの直下に位置する実行登録を行う単位のジョブネットを指し、スケジュールや保存世代数の設定などが可能です。

⑤ネストジョブネット
ルートジョブネットの直下に位置するジョブネットを指し、スケジュールはルートジョブネットに準じているが、個別のスケジュールを設定も可能である。

⑥ジョブネット
ルートジョブネットとネストジョブネットをまとめた総称であり、ジョブを階層管理するフォルダのことを指す。

3-2. ジョブの種類

ジョブとはJP1のジョブには以下のような様々な種類のジョブがあり、処理形態に適応したジョブを選択する。

・標準ジョブ:

UNIXジョブ、PCジョブ、QUEUEジョブなどの総称を指す。

→UNIXジョブ:UNIXホストを使用して処理を実行するジョブを指す。
→PCジョブ:Windowsホストを使用して処理を実行するジョブを指す。
→QUEUEジョブ:キューにジョブを送信して処理を実行するジョブを指す。

・イベントジョブ:

事象(イベント)の発生を監視するジョブを指す。

ファイル監視ジョブやメッセージキュー受信監視ジョブといった種類がある。

・アクションジョブ:

特定の処理を実行するジョブを指す。

メール送信ジョブやリモート電源制御ジョブといった種類がある。

・カスタムジョブ:

JP1/AJS3以外のプログラムとJP1/AJS3を連携させるためのジョブを指す。

3-3. ジョブネット・ジョブ・ジョブネットコネクタの状態

ジョブネット・ジョブ・ジョブネットコネクタは実行状況によってさまざまな状態になる。

主な状態の種類を以下に記す。


・未計画
  →今現在、ジョブやジョブネットを動かす予定がない状態を指す。

・開始時刻待ち
  →ジョブやジョブネットが実行開始時刻に到達するまで待機している状態を指す。

・先行終了待ち
  →先行で実施中のジョブやジョブネットの終了まで待機している状態を指す。

・保留中
  →ジョブやジョブネットが保留中であることを指す。
  ジョブに保留設定をかけることにより、先行ジョブが実行完了をしても当該ジョブは保留状態となるため、実行されることはない。

・実行待ち
  →ジョブやジョブネットがキューイング発生などにより送信処理が完了するまで実行を待機している状態を指す。

・未実行終了
  →先行のユニットが異常終了したなどの原因によりジョブやジョブネットが実行されなかった状態を指す。

・計画未実行
  →実行中止などの原因により、ジョブやジョブネットが実行されずに終了した状態を指す。

・実行中
  →ジョブやジョブネットが実行中であることを指す。

・キューイング
  →ジョブの開始条件がそろった状態で実行待ち状態であることを指す。
  ジョブの実行多重度を超えている(実行中のジョブを流しすぎている)と発生する場合がある。

・正常終了
  →すべてのジョブが正常に終了した状態を指す。

・強制終了
  →実行中に強制終了をしたり、システムが停止したりすることによりジョブやジョブネットが強制終了した状態を指す。

・閉塞
  →ジョブネットを計画実行登録したあと,スケジュール情報に基づくカレンダーなどに設定されているユニットが存在しない場合の状態を指す。

・監視中
  →起動条件に定義した事象を監視している状態を指す。

4. エピローグ


JP1について、私は実際に案件に携わった際に使用した経験がありますが、実際に使用してみて、テスト実行の時間短縮につながる非常に便利なツールであると感じました。


私が使用してみて、特に便利だと感じた点はジョブやユニットが異常終了をすることによってエラーが発生していることを知らせてくれる点やエラーの種類によっては実行結果のログを参照することによって原因調査を速めることができた点、更にはジョブ中の一部の回す必要のない(逆に回すとテストに悪影響をもたらす可能性がある)ユニットに保留設定をかける(回す際に保留状態になったら強制終了をして後続ユニットを回す)ことによって、そのユニットを回すのを回避しながらジョブが実行できる点でした。今後の案件でJP1に携わる機会がありましたら、JP1を動かしながらさらにJP1の仕組みや動かし方についてさらに学習をして深めていきたいと思います。