【初心者向け】CCNA基礎 7章

こちらでは、CCNAの資格取得へ向けた情報を記載いたします。

1. フロー制御


スイッチには、MACアドレステーブルを保存しているメモリとは別にバッファメモリというものがあります。

そこには全てのポートで受診したフレームが蓄積されていき、受信処理が追い付かなくなり、バッファメモリがあふれそうになってしまった場合は、各ポートに接続している機器へ信号を送信してフレーム送信の制御を行います。

この動きを「フロー制御」といい、更にこの中には「バックプレッシャ制御」と「IEEE 802.3xフロー制御」の2種類の方式が存在します。

1-1. バックプレッシャ制御とは

バックプレッシャ制御とは、CSMA/CS方式のアクセス制御を応用した「輻輳(ふくそう)制御」を行うフロー制御のことを指します。

この「輻輳」とは、トラフィックが増大してデータの処理が出来ない状態になることで、スイッチは、基本的に受信したフレームをバッファメモリの残り容量をもとにこの輻輳制御を行います。

以下に、輻輳制御の流れを記載します。


1:端末からフレームを受信して、バッファメモリに格納する。

2:処理が追い付かなくなり、バッファメモリの容量が減少して溢れそうになったため、送信側にジャム信号(もしくはジャミング信号)を送信する。

3:フレームを送信した端末は「コリジョンが発生した」と判断して、CSMA/CD方式に従い、ランダムな時間を待つことで送信するデータ量を抑制する。


また、このバックプレッシャ制御はCSMA/CD方式を応用した輻輳制御を行っている関係上、半二重通信で使用される機能となります。

1-2. IEEE 802.3フロー制御とは

IEEE 802.3フロー制御とは、スイッチ上のバッファメモリを監視する点は同じですが、データの送信を抑制するために「PAUSEフレーム」を送信します。

この「PAUSEフレーム」とは、イーサネットのフロー制御の仕組みの一つでスイッチ側のバッファが溢れそうになった際に、端末の送信を一次停止するように要請するフレームを指します。

以下に、送信までの流れを記載します。


1:端末からフレームを受信して、バッファメモリに格納する。

2:処理が追い付かなくなり、バッファメモリの容量が減少して溢れそうになったため、送信元の端末にPAUSEフレームを送信する。

3:フレームの送信元の端末はPAUSEフレームの情報を基に、指定時間だけデータの送信を停止する。


また、このIEEE802.3xフロー制御は全二重通信で使用される機能となります。

2. フレーム転送方式について


LANスイッチでフレームを転送する場合はどう判断して転送を行うかによって方式が変わってきます。

今回取り上げているレイヤ2スイッチでは「カットスルー」「フラグメントフリー」「ストアアンドフォワード」の3つの方式があります。

2-1. カットスルー

カットスルー方式とは、フレームの先頭から6バイト(宛先MACアドレスのみ)を読み込んで転送する方式です。

転送速度自体は一番速い方式ですが、エラーをチェックする際に宛先MACアドレスのみをチェックするため、通信の品質としては低いものになります。

2-2. フラグメントフリー

フレームの先頭から64バイトまでを読み込んで転送し、転送速度はカットスルー方式の次に速く、通信の品質自体はカットスルー方式よりも高いものとなっています。

2-3. ストアアンドフォワード

ストアアンドフォワード方式は、1つのフレーム全体を受信した後に、メモリに蓄積してFCSを用いてエラーをチェックし、問題が無ければ転送します。

この方式は、転送速度こそ一番遅いものの、通信の品質としてはFCSでのチェックをはさむため、一番品質の高いものとなっています。


また、ストアアンドフォワード方式は一般的には殆どのメーカーのスイッチで利用されている方式でもあり、近年のCisco製のスイッチも同様となっています。

3. スイッチとブリッジについて


ブリッジとは、データリンク層(L2)にて動作するネットワーク機器を指します。

このブリッジは、その情報が必要な端末にのみデータを送信する様に、MACアドレスを学習するスイッチと同じ様な機能を持っています。

スイッチとの違いとしては「処理体系」「処理速度」「ポート密度」「ポート仕様」の4か所に、それぞれの違いがあります。

3-1. 処理体系

まず、スイッチとブリッジは双方ともレイヤ2の代表的なネットワーク機器なのですが、ブリッジはソフトウェアで、スイッチはハードウェアでそれぞれ処理を行うといった違いがあります。

そのため、スイッチでは専用のASICという特定の機能を持ったICチップにて処理を行いデータの転送処理などはCPUとは別で処理されることとなります。


一方のブリッジではフレーム転送などの処理をメモリへ読み込み、その後CPUにて実行する、といった特徴があります

3-2. 処理速度

先述にもあった様に、ブリッジはCPUと密接な関係にあり、全ての処理がCPU任せとなってしまいます。

そのため、CPUへの負担が増えてしまい、転送処理速度が低下する、といった側面を持っています。

よって、速度を重視する場合は、スイッチを使用することで、CPUへの負担をASICへ代替えして処理速度を速くさせる方法が有効です。

3-3. ポート密度

ポート密度とは、1つのネットワーク機器にあるポート数のことを指しており、ブリッジは、その殆どが2ポートのみとなっています。

一方のスイッチについてはブリッジよりも多くのポートを持ち、時には数百のポートを備えたものも存在します。

3-4. ポート仕様

まず、ポート(またはモジュラージャック)は、どのピンからデータを送受信するのかによって「MDI」か「MDI-X」のどちらかを使い分ける必要があります。

今回のブリッジとスイッチでは、そのポートの仕様がそれぞれ異なっており、ブリッジは「MDI」で、スイッチは「MDI-X」をそれぞれ利用しています。

この二つの違いはピンの番号部分をみると解りやすく、「MDI」は、送信側のピンが1,2となっており、受信側のピンが3,6を割り当てています。


一方の「MDI-X」は、送信側のピンが3,6となっており、受信側のピンが1,2を割り当てています。

そのため、MDIは送信を先に行い、MDI-Xは受信を先に行う流れとなっており、MDIとMDI-Xをそれぞれ接続するためには、ストレートケーブルを使用する必要があります。


また、MDIどうしやMDI-Xどうしを接続する際にストレートケーブルを使用すると、最初に受信を行うものどうし(もしくは送信するものどうし)で繋がることになるため、結果的に何も起こらない状態になってしまうので、通信が失敗してしまいます。

よって、同じものどうしを繋ぐ際は、必ずクロスケーブルを使用する必要があります。

同じ原理で、MDIとMDI-Xをクロスケーブルでつないでしまっても、通信に失敗します。


このMDIとMDI-Xは、ノードによってどちらのポートを持つかが決まっており、MDIはPC(NIC)やルータを。

MDI-Xはハブやスイッチを持つこととなります。

4. まとめ


お疲れ様でした。 ここまで読んでいただきありがとうございます。


回を増すごとに、過去に出てきた単語が当たり前の様に使われていますがもし単語が何だったかを忘れてしまった場合は、過去の記事を振り返りながら読むことで復習にもなり、比較的覚えやすい状態になると思うので、是非試してみてください。

次回は、「コリジョンドメイン」や「ブロードキャストドメイン」についてまとめていきます。