【初心者用】SAP学習2

前回まではSAPの歴史や商品の内容について見てきました。今回は導入部分から見ていこうと思います。

1. SAPを導入するには?


SAPはパッケージ製品なのでサーバーにインストールするだけで利用可能になるものではありません。

インストールを行ったあとの設定作業や自社の業務内容に合わせた機能開発が必要となります。

SAP導入には基本的に以下の2つの作業が必要となります。


【SAP導入時の必要作業】

①パラメータ設定(コンフィグレーション/カスタマイズ)
②ABAP開発(アドオン開発)

作業内容を理解することでSAPのメリット・デメリットがさらによくわかるようになります。

2. パラメータ設定(コンフィグレーション・カスタマイズ)


パラメータ設定とは、別名コンフィグレーション・カスタマイズとも呼ばれています。


SAPは全世界の全業種で利用可能なERPパッケージとなっているため、使う言語や画面上に表示する内容などはオプションで選択することが可能になっています。

どのオプションを利用するのか(どの言語にする?画面の項目はどうする?など)を1つ1つ設定していく作業がパラメータ設定です。


パラメータ設定の代表的なものを挙げると「会社名」の設定や「組織情報」の設定といった基本的なものから「利用する消費税」の設定「画面項目」の設定など実際の業務に密接に関連してくるものまで幅広く存在します。

SAPの優れている点として、前回も話をしたように業務としているもののみ選択することが可能です。

設定項目が充実し、この幅広さが世界中の企業に採用されている大きな理由となります。


逆に言えば、どのような設定が必要で、どのような手順で設定すればよいのかは、専門家でないとわかりかねます。

専門家としてのスキルを保持し、企業へのSAP導入をサポートするのが、SAPエンジニア・SAPコンサルです。

設定を隅々まで知り尽くしているSAPエンジニアによってSAP導入時の初期パラメータが行われます。

3. SAPエンジニアについて

SAPエンジニアとは、SAPを導入・運用保守するエンジニアのこと。

多くのメリットを享受できる反面、導入時の初期構築や法改正などの難易度が非常に高いという性質を持っています。

つまり、誰でも簡単にSAPを導入できるというわけではありません。


SAPは独自のプログラミング言語「ABAP」で作られているため、SAPのシステム的な仕組みに加え、ABAPの知識も必要になる場合があります。

このような性質からSAPを導入するためにはSAPに特化した専門知識が必要とされます。

SAPを導入する企業に対して、SAP導入の支援を行っていくのがSAPエンジニアの役割です。

4. SAPエンジニアの具体的な仕事内容

SAPエンジニアの仕事内容は2つの分類にすることができます。

1.パラメータ設定(コンフィグレーション・カスタマイズ)
2.アドオン開発(ABAP開発)

4-1. SAPエンジニアの仕事の1:パラメータ設定(コンフィグレーション・カスタマイズ)

SAPはERPパッケージ製品ですので、サーバーにインストールすれば即そのまま利用できるというわけではありません。

システムとして稼働させるためには、基本的な設定を完了させる必要があります。

利用する「言語」の設定や会社の住所情報などといった基本的なものから、画面に表示させる項目の制御など実に幅広い設定が必要です。


この設定をパラメータ設定と呼びます。

企業や人によっては、パラメータ設定のことを「コンフィグレーション」と呼んだり、「カスタマイズ」と呼んだりしますが、指している内容は同じです。


SAPは全世界のありとあらゆる業界に適用可能な製品ですが、その分設定しなければならない項目も莫大に存在します。

熟練のSAPエンジニアでさえ、全ての設定項目を熟知しているわけではない程に、多くの設定項目が存在します。


例として、会計系の設定内容の一例をあげるだけでも、勘定コードの設定やら伝票タイプの設定等、たくさんの設定が必要となります。

また、この設定手順や設定のコツについてはインターネット上に情報が載っておらず、素人が設定できるようなものではありません。


その時に出番になるのが、SAPエンジニアです。

SAPエンジニアはさらに細かく分けると「FIエンジニア」や「MMエンジニア」といったモジュール単位で専門があり、各SAPエンジニアが一つのチームになってパラメータ設定を進めていきます。

4-2. SAPエンジニアの仕事2:アドオン開発(ABAP開発)

SAPは全世界のありとあらゆる業界に適用可能な製品ですが、会社独自の業務が存在するような場合はパラメータ設定だけでは業務要件を満たせない場合もあります。


このとき、SAPに導入企業独自の機能を追加することをアドオン開発(Add-On)と呼びます。

アドオン開発では、SAPで用いられる独自のプログラミング言語「ABAP」を用います。


【ABAPはどんなプログラミング言語?】

ABAPは、もともとはCOBOLと同じような構造化プログラミング言語でしたが、時代とともに進化しオブジェクト思考を取り入れつつ拡張しているプログラミング言語です。

そのため、基本となる構造化プログラミングの概念だけでなく、オブジェクト思考といった現代のプログラミング言語に共通する基本知識も必要となります。

4-3. SAPエンジニアに求められる能力とは

どのような現場のシステムエンジニアでも、自走力(自分で調査をして自分で解決する力)、コミュニケーションスキル、ライティングスキルなどは共通して必要となりますが、SAPエンジニアはそれに追加して以下の能力が求められます。


【SAPエンジニアに求められるスキル】

・SAPに関する専門知識
・業務内容を把握する理解力
・マネジメント能力

4-4. SAPに関する専門知識


SAPエンジニアと呼ばれるからには、まず大前提としてSAPの基本的な操作方法や、SAPのシステム的な仕組みを理解しておく必要があります。


トランザクションコードといった基本用語や、システムランドエスケープの基本知識(クライアント依存・クライアント非依存)などの基本的なアーキテクチャに対する理解などは必須になります。

また、各モジュールの仕組みを理解していないと、本当はパラメータ設定で対応できる業務を、わざわざお金をかけてアドオンで開発してしまう、などの失敗につながります。

インフラレベルの知識から、アプリケーションレベルのスキルまで幅広い知識が求められる子になります

4-5. 業務内容を把握する力


これは特にSAPの導入時に求められる力ですが、各企業の業務内容を理解する力が求められます。

特にパラメータ設定を得意とするSAPエンジニアの場合、要件定義フェーズからSAP導入にかかわることがほとんどとなるため、お客さんが普段どのように業務を進めているのか?を理解する力が必要となり、SAPの専門知識だけでは困難になる。


会計モジュール(FI)を得意とするSAPエンジニアの場合は少なくとも簿記3級を身に着けておく必要がある。

4-6. マネジメント能力

SAPを導入する企業は比較的大規模な企業です。

そのため、SAP導入プロジェクトは大人数プロジェクトとなることがほとんどとなります。

つまり、一人で完結するような働き方ではなく、複数人で協力・調整しながら物事を進めていくマネジメント能力が求められます。


また、SAPを「極める」というのは現実問題困難なので、日々未知の事象に遭遇します。この時にも、知っている人に頼る力や逆に困っている人助ける親切心も重要となってきます

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