Java開発に必須のフレームワーク | Spring BootとSpringの違いを徹底解説!

Spring BootとSpringはどちらもJavaのWebアプリケーション開発に使われるフレームワークですが、それぞれに特徴やメリットがあります。

この記事では、Spring BootとSpringの歴史や機能、使い方などを比較しながら、それぞれの違いを理解していきましょう。

1. Springとは


Springとは、2003年に登場したJavaのWebアプリケーション開発のためのフレームワークです。

フレームワークとは、アプリケーション開発に必要な共通の機能や設計パターンを提供してくれるツールのことで、開発者はフレームワークに沿ってコードを書くことで、効率的に高品質なアプリケーションを作ることができます。

1-1. Springの特徴

Springの特徴は、以下のようなものが挙げられます。

 ・軽量で高速なフレームワークである

 ・依存性注入(DI)やアスペクト指向プログラミング(AOP)などの技術を採用している

 ・モジュール化されており、必要な機能を選択して利用できる

 ・豊富なライブラリやプロジェクトが提供されており、様々なシーンに対応できる

 ・オープンソースであり、無料で利用できる


Springは、JavaのWebアプリケーション開発における標準的なフレームワークとして広く普及しており、多くの企業やプロジェクトで採用されています。

WebシステムやWebサービスをはじめ、クラウドアプリケーションやモバイルシステムなど、Springに備わっている機能の拡張性を利用して、細やかな仕様変更や多様な開発プロジェクトに柔軟に対応できる点がメリットです。

2. Spring Bootとは


Spring Bootとは、2014年に登場したSpringの機能を使いやすくするためのフレームワークです。

Spring Bootは、Springの肥大化や複雑化という欠点を解消するために作られたフレームワークで、Springの初期設定や環境構築の手間を省いてくれます。

2-1. Spring Bootの特徴

Spring Bootの特徴は、以下のようなものが挙げられます。

 ・自動設定により、Springの機能を簡単に利用できる

 ・依存性管理ツール(MavenやGradle)と連携して、必要なライブラリを自動的にダウンロードできる

 ・埋め込みサーバー(TomcatやJetty)を利用して、簡単にアプリケーションを起動できる

 ・アノテーションやプロパティファイルなどを使って、コードを書かなくてもプログラム処理ができる

 ・Spring MVCのフレームワークの仕様を踏襲しており、Springとの互換性が高い


Spring Bootは、Springの機能を簡素化・汎用化したフレームワークで、小規模から大規模なプロジェクトまで対応可能です。

Spring Bootは、マイクロサービスやRESTful APIなどのシンプルなWebアプリケーションの開発に適しており、JavaやSpringの勉強を始める人にもおすすめのフレームワークです。

2-2. Springとの違い

Spring BootとSpringの違いは、セットアップ、依存性管理、プロジェクトのスケーラビリティがあります。


 ・セットアップ
  Springは手動で多くの設定が必要ですが、Spring Bootは自動設定によりすぐに開発を始められます。

 ・依存性管理
  Spring BootはSpringの依存性管理をさらに簡単にしています。

 ・プロジェクトのスケーラビリティ
  Spring Bootは小規模から大規模なプロジェクトまで対応可能ですが、Springは多くの場合、大規模なエンタープライズアプリケーションに適しています。

3. Spring Bootで出来ること


Spring Bootで出来ることは、以下の通りです。


 1.Webアプリケーションの開発
  Spring MVCやThymeleafなどのWebフレームワークやテンプレートエンジンを利用して、Webアプリケーションを開発できます。

 2.データベースの操作
  Spring DataやJPAなどのデータアクセスフレームワークを利用して、データベースの操作を簡単に行えます。

 3.セキュリティの強化
  Spring SecurityやOAuth2などのセキュリティフレームワークを利用して、認証や認可などのセキュリティ機能を実装できます。

 4.テストの実行
  JUnitやMockitoなどのテストフレームワークを利用して、ユニットテストや統合テストなどのテストを実行できます。

 5.ログの出力
  LogbackやSLF4Jなどのログフレームワークを利用して、ログの出力や管理を行えます。

 6.モニタリングの実施
  Spring Boot ActuatorやMicrometerなどのモニタリングフレームワークを利用して、アプリケーションの状態やパフォーマンスを監視できます。

4. Spring Bootの案件需要と将来性


Spring Bootの案件需要と将来性についても見ていきましょう。

4-1. 新規開発やスタートアップに向いている

Spring Bootは、設定や運用が簡単であり、開発が速いという特徴を持っています。

これは、新規開発やスタートアップにとって、非常に魅力的なメリットです。

新規開発やスタートアップでは、市場のニーズに素早く対応することや、最小限のコストでプロダクトを作ることが重要であるため、Spring Bootは、これらの要求に応えることができるフレームワークと言えるでしょう。


実際に、Spring Bootは、NetflixやUberなどの有名なスタートアップや、LINEや楽天などの大手企業の新規サービスにも採用されています。

4-2. マイクロサービスに対応している

マイクロサービスとは、一つの大きなアプリケーションを、複数の小さなアプリケーションに分割して開発するアーキテクチャのことです。

マイクロサービスは、開発や運用の効率やスケーラビリティを向上させることができますが、Spring Bootは、マイクロサービスに対応したフレームワークとして、Spring Cloudというプロジェクトを提供しています。


Spring Cloudは、マイクロサービスの構築や管理に必要な機能を提供してくれます。

例えば、サービスの登録や発見、負荷分散、設定管理、断続的な通信の対処などが可能です。

4-3. トレンドに合わせて進化している

Spring Bootは、Springのフレームワークを簡単に利用できるようにするフレームワークですが、それだけではありません。

Spring Bootは、Webアプリケーション開発のトレンドに合わせて、常に進化しています。


例えば、Spring Bootは、リアクティブプログラミングという非同期でイベント駆動のプログラミング手法をサポートしています。

リアクティブプログラミングは、高いパフォーマンスやスケーラビリティを実現できる手法ですが、従来のSpring MVCでは実現できませんでした。

5. まとめ


Spring BootとSpringはどちらもJavaのWebアプリケーション開発に使われるフレームワークですが、それぞれに特徴やメリットがあります。

Springはその柔軟性と拡張性で大規模プロジェクトに適しており、Spring Bootは迅速な開発とシンプルな設定で中規模以下のプロジェクトに最適な選択肢となります。

プロジェクトの要件とリソースを考慮して、適切なフレームワークを選択することが、効率的な開発の鍵となるでしょう。